会員限定の情報提供サイト

お役立ち記事

実習実施者への監査訪問

監理団体による実習実施者への監査訪問は3ヵ月に1回以上行われなければならないと技能実習制度で定められています。
その監査訪問において気を付けなければならない点や、特筆すべきポイントなどを紹介します。

1. 鉄則

①監理団体の最も重要な業務が監査訪問
国から与えられた権限(義務)により行使する監理団体の最も重要な仕事が実習実施者への監査であることを、しっかりと認識する必要があります。

②監査訪問する人は、監理団体の役員または職員でなければならない
  役員、職員の常勤、非常勤は問われませんが、監理団体の役職員でなければなりません。
  違う人に監査訪問を行わせる
行為は、技能実習法違反となります。送り出し機関の方やブローカー
  などに監査訪問を行わせ、それが外国人技能実習
機構に見つかって許可取り消しとなった事案も、
  実際にあります。

 ③監理責任者の指揮の下に行われること
  実際に監査訪問をする人は、必ず監理責任者の指示指導の下に行われなくてはなりません。
  監理責任者ではない役員や職員が、監理責任者をないがしろにして行うと、それは監査訪問に
  ならなくなってしまいます。

 

2. 通訳について

①監査訪問時の通訳者
  
監査訪問に際して、通訳者を必ず帯同させなければならないというルール明記はありません。 
  それでも、もちろん通訳者帯同での監査訪問が望ましくはありますが、それができない時には
  電話や、
SNSなどを活用してリモート通訳とする対応が望ましいと考えられます。

 

②通訳者の仕事
  
外国人を通訳者として雇い、その外国人職員に監査訪問を任せる場合は、注意が必要なケースが
  散見されます。特に不慣れな外国人職員は、例えば、その場しのぎだけの判断に流れてしまう
  傾向が多く見受けられます。

  これは日本人も同様ではありますが、監査訪問に限らず、監理業務は特に、技能実習法、入管
 難民法、労働基準法など、多種多様な法令に抵触しないように気を付けなければならない場面が
 多くありますので、通訳者としての職務以上の業務が困難な外国人の方には、通訳業務のみに
 徹していただくことをお勧めします。

    通訳者としの業務のみならず、監理団体の総合職や渉外担当として通訳が可能な外国人を雇い、徹底した監理業務従事者としての教育が施され、対応が十分に可能であれば、この限りではありません。

③監理団体の通訳は送り出し機関の役職員に委託することはできません。
  時折、「通訳は送り出し機関にお願いしています。」と聞き及ぶことがあります。これは、外国人
  技能実習機構からはアウトとなります。
送り出し機関へ通訳を委託することは禁止されています。
  設立間もない協同組合など通訳を雇うのが難しい監理団体は通訳業務を委託するケースもあると
  思いますが、その際は専門の通訳会社などに委託するようにしましょう。
  日本語学校や中堅規模以上の登録支援機関の系列会社などが割と安価で請け負っていますので、
  そちらで契約するのがよいかもしれません。

■監査訪問で訪問したことを裏付ける資料

監査訪問を実施する際、確かに訪問し監査を行ったという証拠を残すことも必要です。年度内に1回と定められている、外国人技能実習機構による監理団体への実地検査では、必ず監査訪問を行ったことを裏付ける資料の提出を求められます。

 その際に、裏付け資料としてよく要求されるのが、監査訪問に行く際の公共交通機関の領収書です。
しかし、車移動で有料道路も使用しないという条件下の場合は、そのような資料はありません。
そういった場合は、監査訪問する際にスケジューリングした手帳や予定表などの提出を求められます。よって、訪問したことを裏付ける資料として、必ず予定表や手帳などに監査訪問予定を記載しておき、外国人技能実習機構の実地検査の際には見せられるようにしておく必要があります。

  ある監理団体では、外国人技能実習機構の参考様式にある監査実施概要を監査訪問時に実習実施者と技能実習生から監査訪問をしたことを証するためのサインを記入してもらう欄を設けて運用しています。
 外国人技能実習機構の実地検査の際は、それを見せれば裏付ける資料として了承されています。

■監査訪問を簡略化し、実習実施者への教育も同時に行うテクニック

監査訪問を行う前段の段取りとして、EメールやFAXで「監査訪問事前調査」としてアンケート的に質問をし、回答を得ておきます。
こういった事前対応から、監査訪問時の質問事項を省略しています。

  また、「監査訪問事前調査」は監査訪問の当日の対応を簡略化することだけでなく、実習実施者に直接聞きづらいことや、禁止行為などを質問項目に入れることによって、直接では答えにくい回答を得られたり、実習実施者として対応しなくてはならないことや、禁止行為がどのような行為かの教育指導となったり、再認識していただいたりすることが可能になります。

簡略的ですが監査訪問についての知識やノウハウを、ぜひ、みなさまの業務にもお役立てください。

 

 外国人受入適正化協議会 ~SAVE~ 笹本

この記事はお役に立ちましたか?